手探りで

発達障がいの専門医の中には、『無理をさせてはいけない』『嫌な事・苦手な事から逃げ回ってもいい』という言葉をよく聞きます。                                                 勿論、強要される事で、その子がその子らしく生きられない…そんな考え方もあるでしょう。 

でも、嫌な事・苦手な事から逃げ回る事が、本当にその子らしく生きられる道筋になるのかと、自分は当事者として、この言葉には違和感を覚えます。

41年もの歳月がかかりましたが、自分らしさをようやく見付ける事が出来ました。                           この年になれば、コミュニケーションのコツや自分の取り扱いにも慣れてくるので、『発達障がいに見えない』と言われることがほとんどです。                                   でも、自分は発達障がいに対して、何の引け目もなければ、普通に見えたいわけでもないので、定型発達の人に合わせたつもりも、寄せたつもりもありません。                            そこには、ただ、なりたい自分になる為にひとつひとつの課題を見付け、取組み、クリアしてきた時間の積み重ねがあるだけです。

苦手な事はどうしたって苦手です。                                    でも、そこを埋める方法は一つではありません。

例えば、目標を山の頂上に到達することに例えるなら、定型発達の人がスムーズに行ける最短楽々コースがあったとして、それが発達障がいの特性をもつ者にとってみれば、難しいと感じるコースに感じる事が多々あります。                                                         それなら、発達障がいの特性を持つ者のコースをもう1パターン用意しましょう!という訳にはいきません。

何故なら発達障がいの特性は様々で、誰にとってもベストのコースなど用意できるはずもなく、ひとりひとりが地図もコースもない道を手探りで進まなければいけないのです。                         そんな状態だから、上手くいかなくて立ち止まったり、引き返したり、時間は人よりかかってしまいます。

そして、そんなた探りで頂上を目指す為に必要なのは、やはり自信しかありません。                                         先程言った発達障がい専門医の『嫌な事・苦手な事から逃げ回ってもいい』という言葉に、否定されて自信を無くしてしまうくらいなら、一旦退避して、作戦を練って、別ルートを探すというという意味があるのなら、確かに逃げるのも自分らしさを守る為には必要な事かもしれません。