働くという事

先日、初めて本格的な家具の制作依頼を頂いて、コツコツと作っています。

工芸会社の木工部にいた頃、作る機会はあったので、作り方は分かるし、事業の幅を広げたくて引き受けました。                                                           作り始めてみると、最初は頭では『まぁこんな感じでいいかなぁ』なんて思っていたけど、その人の身長や動作を想像しながら、使い勝手を確認しながら、ひとつひとつ作業を進めて行くと、思ったより少し、いやかなり時間がかかるし、当初決めていた材料より、少しでもいいものがあれば、やっぱりそちらを使ってしまう。

正直、見積もりなんてあってないようなものだと思うくらい、手間も材料も膨らんでしまうけど、こればかりは、これでいいやなんて妥協できない、譲れない。

利益なんてなくても、それでいいと思う。                                 今は経験を積ませていただいている時なので。

誰かを想って制作するのは、それだけ貴重な経験のように思う。                                 それはきっとお金では買えないもの。                                      勿論、頼まれて制作する機会はこれまでもあったけど、会社の一員ではなく、個人事業主として『プロとして信用してるので全てをお任せします』と、そんな気持ちを頂くと、背筋が伸びて、絶対期待に応えたいって気持ちになるのです。

昔後輩が「仕事はお金を稼ぐ手段で、給料は、しんどい思いの代償」と言っていたけど、お客さんは、別にこっちにしんどい思いをして欲しいわけではなくて、お客さんの抱えている問題の解決を望んでいるにすぎないのだ。                                                 つまり、お金はしんどい思いの代償なんかではなくて、その問題解決をしたという証のようなものではないだろうか。                                                だからこそ、働く事は誰かの幸せに繋がっているのだと、自分は思います。